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こんにちは! デザイナー見習いのトモミです。
Webデザインの勉強をはじめて半年、「いいデザインって、なんだろう?」と考えることがよくあります。
一目で万人に伝わりやすいもの?
インパクトがあって、目を奪われてしまうもの?
そんなとき、『世界のブックデザイン 2018-19』展が開催中だと知りました。
2019年にドイツで発表された「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書と、ヨーロッパ、北米、アジア7カ国の造本コンクールの入賞図書を実際に手に取り、世界最高峰のブックデザインに触れられるというんですよ。
しかも無料で!
「美しいものには、見て触れてみろ」とはよく言われていることですし、“世界で最も美しい本”のデザインが気になり、印刷博物館P&Pギャラリーに行ってきました。
展示されているのは、2019年3月にドイツのライプツィヒ・ブックフェアで一般公開された「世界で最も美しい本コンクール 2019」の入選図書と、日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国の7つの造本コンクールで入賞したおよそ170冊です。
入るとすぐに、「世界で最も美しい本コンクール 2019」の受賞作のコーナーがあります。
こちらの賞は、各国・地域のコンクール主催団体から寄せられた、それぞれのコンクール選抜の美しい本から、さらに美しい本を選び出すもので、1963年に東ドイツで始まりました。東西ドイツ統一後は旧西ドイツのエディトリアルデザイン財団が引き継いで主催し、29回目を迎えます。
今回は、34の国・地域コンクールの主催団体から選抜され、応募があった約600冊の中から、金の活字賞、金賞、銀賞、銅賞、栄誉賞といった11冊が展示されています。
世界一に選ばれた「金の活字賞」が、こちら。
『AMSTERDAM STUFF(アムステルダムの「もの」)』!
「もの」って何!?
本を開くと、15世紀の鎧から食器類、携帯電話まで、生活用品がびっしりとカラー写真で紹介されています。「もの」とは、アムステルダムの地下鉄工事の際に発掘された「出土品」だったんですね。
でも、ただの資料集ではありません。
『世界のブックデザイン』展の担当学芸員の寺本美奈子さんによると、
「『AMSTERDAM STUFF』は、ダントツで『金の活字賞』にふさわしい本です!」
とのこと。
どこがスゴいのか、お話をまとめると……
約70万点の出土品の中から、なんと約1万4000点も収録しているんです!
この膨大な情報量を処理し、撮影、執筆、編集、ブックデザインをする時間と労力を考えると、普通なら出版することを躊躇(ちゅうちょ)してしまいますよね。それをやり遂げたオランダという国と、アムステルダムの人々の歴史に対する意識の高さは、スゴい……。
本文ではさまざまな大きさと形の品々が、1ページにつき20点以上ぎっしりと収録されているのに、圧迫感がなく読みやすいことに気がつきます。それは、基本となるフォーマット・デザインがしっかりしている証拠なんですね。
出土品の写真が浮き出て見えるように、撮影もライトボックス上で行われています。
600ページ近くに及ぶ本の厚みと重さを軽減するため、本文用に特別な薄紙が開発されました。紙が薄い分、心配されていた”裏写り”は、「出土品」というテーマとうまく調和しています。つまり、
この紙の”透け感”により、読者たちはページをめくるごとに地層を剥がすような感覚を楽しめるのです。
表紙と帯のデザインは、アムステルダムの紋章(3つの十字)と「STUFF(もの)」のタイトルのみ。シンプルだけど主張があります。
土の中から掘り起こされたものを紹介する本なので、表紙は土色を使用。帯に使用されているピンク色は、地層を連想させます。
実は表紙や帯の色も、本のテーマを物語っていたのです。
食器や建築素材(レンガなど)などの「もの」で分類し、年代順に掲載しているので、500年の生活史としても読めます。
……などなど、圧倒される一冊でした。
ちなみに、「金賞」はこちらです。
カメラマンのポール・フスコが1968年6月8日に殺害されたアメリカ大統領候補ロバート・F・ケネディの遺体を運ぶ葬送列車に同乗し、そのときの様子を”列車のまなざし”で再現した写真集『Robert F.Kennedy Funeral Train』。人々がこの列車をどう受け止めたのかという問いを立て、この出来事の真相を追求します。
2019年は金の活字賞、金賞ともに、オランダの本が受賞しました。
「栄誉賞」には、日本人のイラストレーター・田中健太郎さんの『the first』が選ばれました。
塗り絵ができる絵本として制作されたようですが、表紙のタイトルは小さく控え目。
しかも銀の箔押し加工で、スタイリッシュ!
ここからは、展示される約170冊の中から、気になった本を”グッときたポイント”を交えてご紹介します。
息を飲んだデザインは、ドイツの『Nichtsein(非存在)』です。
表紙にある白い箔押しのような細い長方形型は、よく見ると切り抜かれています。
さらに巻頭では、直径3ミリほどの小さな穴(ドット)の空いたページが、長くつづきます。
このナゾの穴が意味するものとは……?
実は、「ドイツ国内で自殺して亡くなった人数」を、年齢別に示していたんです。
デザインのおもしろさに惹かれて思わず見入っていましたが、目を反らしたくなるダークな話題を、デザインの力で読ませてしまう力は「すごい」の一言。
著者はデザインを学ぶドイツの大学生で、組版、デザイン、タイポグラフィすべてを担当しています。
表紙にタイトルはありませんが、手漉きによる白い紙や、デコボコしたひし形の模様が気になって手に取った本が、中国で出版された金子光晴の『鮫』です。表紙のデザインは、本のテーマである「水紋」を意味しているそうです。
背表紙のタイトルにもご注目ください。わざと文字が斜めに傾いて配置されているのがわかるでしょうか? 全体的に上品で控えめなのですが、遊び心があります。
2019年が日本とオーストリアの国交樹立150周年ということで、今年はオーストリアのコーナーが充実しています。
過去2009〜18年の受賞図書から厳選された20点の中で目についたのは、オブジェのように展示された『Zoo der imaginären Tiere(空想動物の動物園)』です。
折り込みページの中に空想の動物が隠れるように描かれています。表紙にくり抜かれた窓のような穴から動物たちを眺める趣向は、まさに動物園。
動物つながりで、ドイツのコーナーにユニークなテーマの絵本を見つけました。
中村至男さんによる、すべてピクセルでつくられた動物の絵本『PIXELZOO(ピクセルの動物園)』と、人間の血を吸う“ヒル”がチャーミングに描かれた『Begel, der Egel(ヒルのべゲル)』。
ユニークな造本の発想は、日本も負けてはいません。
藤井基二さんの詩集『水温集』の水色の小箱を開くと、薬袋があり、その中に詩の紙片が入っています。
こちらはなんと、“水に浮かべて読む本”なのです! 本文は水に溶ける紙に印刷され、水に浮かべると紙の繊維が溶けて文字だけが残ります。
既存の枠にとどまらない、実験的な本ですね。
気になるのは、各国の「美しい本」の選ばれ方です。
そもそも日本と海外とでは、造本設計や言語(海外では横組みが基本)が違いますし、各国によって審査で重視するポイントは異なります。
たとえば、スイスのコンクールでは、コンセプト、グラフィックデザイン、タイポグラフィ、中でも特に革新性と独創性が評価されます。さらに、印刷の質、表紙と製本、素材の選択、仕上げ、本の全体から醸し出される雰囲気といったポイントがあげられています。
同じヨーロッパでも、オーストリアでは、第一審査で、組版、製版、印刷と用紙、製本、本審査ではコンセプトとデザインを見る、という基準があります。
一方、中国では、デザインの整合性、内容とデザインのマッチング、デザインの書籍への貢献度、デザインスタイルと手にとったときの感触と統一性、デザインにおける技術手段の運用などを評価します。
日本では、本文の文字組みから色使い、レイアウト、表紙ジャケットの美しさや機能性、材料の適正、印刷・製本などあらゆる角度から審査されます。
それぞれの国の選定基準を知ったうえで本のラインナップを眺めても、おもしろいですよ。
ブックデザインの美しさを評価するポイントは、いわゆる”ジャケ買い”の対象となる表紙ジャケットにとどまりません。つきつめると、
・本のコンセプトとデザインとの合致
・文字の読みやすさ
・文字組みのバランス
・使用する素材
・独創性など
・印刷、製本
などなど、細かくあることがわかりました。
「奥が深いなぁ」と美術品を扱うように本を手にしていた私に、展示担当の寺本さんは
「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ」
と、ブックデザインを楽しむコツについてアドバイスをくれました。
「手にしたとき、『持っていたい』という気持ちにさせてくれる本は、ありませんか。
そういう本は、よく見るとフォントや紙の素材、表紙や帯、タイトルの色など、小さなところにさまざまなデザインの工夫があるものなんですよ。
『なぜこの本が好きなのか考えること』が、ブックデザインのおもしろさを知る第一歩です!」
とのこと。
世界のブックデザインのトレンドを知るにとどまらず、デザインやアイデアのヒントもたくさんいただきました。
ちなみに来年も開催予定とのことで、楽しみにしています!
いかがだったでしょうか?
今回は「世界で最も美しい本」について、ご紹介しました。
本のデザインのおもしろさは、実際に手に取ることで、じわじわと伝わってくるものだと感じました。
ぜひこの機会にじっくりと味わってみてください!
※本展覧会は、今回の新型コロナウイルス感染に対するお客様の安全と拡大防止を図るため2月29日(土)から当面の間、臨時休館中です。再開の時期については、印刷博物館のホームページでご確認のうえ、お出かけください。
(文・写真/トモミ)
※記事内容はすべて公開日時点の情報となります。
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