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カルチャー

LGBTQ就活:
Xジェンダー用履歴書を作ってみた

Xジェンダー用履歴書を作ってみた

みなさまいかがお過ごしでしょうか? 明けきらない梅雨が鬱陶しいですね。
梅雨よろしく、生粋の雨男 ―― でもなく、雨女でもなし。
「妖怪雨降らしです。」としか言えない、Xジェンダーのライター秋山です。

LGBTQ? Xジェンダー? なんぞや……?
と思われた方もいらっしゃるかとは思いますが、

端的に言えば
「なんだか風変わりな性別を持った奴が、風変わりな性別を開示して就活してやろうじゃないか。」
といった趣旨でお送りさせてもらいますのが本記事です。

目次

  1. Xジェンダーってなあに?
  2. 「該当箇所」がない既存の履歴書
  3. いっそのこと、作ってみた
  4. いざ、提出!

1.Xジェンダーってなあに?

Xジェンダーってなあに?

「LGBT(Q)」「セクシャルマイノリティ」

昨今、こんな言葉を耳や目にする機会も増えてるのではないでしょうか。
簡単に言ってしまえば、その中の一種です。

しかし一口には言えないXジェンダー。

「両性」「中性」「男女どちらでもない」「性別という概念がない」「不定性」……

等々、その形は様々。

この辺、書けば書いただけ長くなるので詳細は割愛しますが
ひとつの性自認の在り方、と言えます。

僕はなんでしょうね?
戸籍は女性、しかし性自認の中に女性は存在せず、かといって完璧に男性でもなく。
少々男性寄りの中性、というのが現在のスタンスです。

2.「該当箇所」がない既存の履歴書

さて、就活といえば手始めに履歴書の作成ですが、
LGBTQに該当する方はたぶんお察しのことでしょう。これが根本的かつ大きな大きな大問題。

「書けない」
「書きたくない」

スタートダッシュのその瞬間、大岩のごとく目の前に立ち塞がるのはあの魔の「項目」
こいつを回避しないことには前には進めない……ならばどうする?

だったら作ればいいじゃない。

ということでXジェンダー用履歴書の作成から、さらには提出までを、行ってみました。

男女に丸を付ける項目

「該当する箇所に○」

日本で広く一般的に使われている履歴書に至極当然のように鎮座する、この項目。
これが曲者困りもの。
先の通り男女ともつかないものですから、さて、どちらに丸を付けよう?

どちらにも丸を付けない、という選択をとろうとしたこともあったけれど、
それはそれで「うっかりミス」や「不注意」ととられそうで、なんだかなあ、と。

ならば間の「・」に丸をする? いや、それもまた上手く伝わる気がしない……。
Xジェンダーの頭を悩ませる、まさに「魔の項目」です。

該当する箇所が存在しない、この世間からの爪弾き感よ。正直泣きたくもなる。
開示しよう! という誠実な意思を持って就活に取り組もうとしても、
こうして初っ端の初っ端から出鼻を挫かれることになるわけです。

どうしたって性別欄の存在しない履歴書が無いのか?
そうだ、無いならいっそのこと……作ってしまえ!


 

3.いっそのこと、作ってみた

というわけで作ってみたのがこちら。

その他の項目を追加した履歴書

既存のフォーマットをダウンロードして、エクセルでちょいちょいっとイジってみました。

その他の項目を追加した履歴書のアップ

「その他」

うん。いい響きです。
自信を持ってここに丸をしましょう。

かなり簡単に作れますので、是非お試しを。

「もう少し詳しく書きたい。」なんて場合もあるでしょう。そんなときはこちら。

面倒なので今度は一から作ってみることに。

性別箇所を空欄にした履歴書

はい! ただの空欄です!!
これなら好きなだけカスタマイズ可能。

空欄の部分にXとだけ書いた履歴書

今回はシンプルに、「X」とだけ書き込んでみました。
この潔さ。良いですね。

秋山は改名済みなので実名を書くことに抵抗はないのですが、戸籍上の実名を開示することに抵抗があったり、通名を知らせたい人もいるでしょう。
通名」という欄を作ってみてもいいかも知れません。

職歴欄が無駄に長い? 仕様です。ジェンダー非開示により一所に根付けない、悲しき性が故。
否、ここから根付いていくんだ……!

4.いざ、提出!

実際にこれを提出してみるのには、結構な勇気を必要としました。

この履歴書を出し、どんな顔をされてきただろうか? それこそ、反応は虹色十人十色でした。

大切なのは僕個人だと力量を見ようとしてくれたり、好意的に受け止め、詳しい話を聞いてくれたところもあれば、
なんともいえない表情で詳細を問われ、「ああ、そうですか……」となんともいえない返事を返されたことも。
場合によっては何も書いていないかのように、スルーして話が進んでいったり。

こうして開示の上で就活という場面に向き合い、それがうまくいくのかどうか、まだはっきりは判らないというのが実情。
けれどこうして小さくとも声を上げることが、同様の悩みを持つ人が立ち上がるきっかけに、また当事者ではない人々への理解の一歩、すなわち多様性を受容する社会に変わる一歩になればと思っています。

それでは明日も歩きます茨道。

レインボーでカラフルな未来に幸あれ!

(文/秋山 写真/秋山・Pixabay)

※記事内容はすべて公開日時点の情報となります。


 
 
 

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