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エンタメ

「幸せとは何か」と考えたことのある方にぜひ観てほしい。
“しあわせな人生”にするための生き方を見せてくれる2人の4日間の軌跡。

『しあわせな人生の選択』レビューのトップ画像

こんにちは! ポップコーンはキャラメル派、西田メルモです。

今回は、7月1日公開の『しあわせな人生の選択』を観てきました!

限られた時間を“しあわせ”に導く、友人と愛犬との愛おしい4日間。
今を生きるすべての人の心に届く素晴らしい映画です。

『しあわせな人生の選択』

ポスター画像
© IMPOSIBLE FILMS, S.L. /TRUMANFILM A.I.E./BD CINE S.R.L. 2015
原題
Truman
製作年
2015年
製作国
スペイン・アルゼンチン
配給
ファインフィルムズ
上映時間
108分
映倫区分
R15+
監督
セスク・ゲイ
キャスト
リカルド・ダリン
ハビエル・カマラ
ドロレス・フォンシ
トロイロ(犬)
エドアルド・フェルナンデス他

【作品紹介】

スペイン・アカデミー賞<ゴヤ賞>で、イザベル・コイシェ監督らをおさえ、
作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞と、最多5部門を受賞。

残り少ない人生をいかに過ごすのかを選択していく主人公フリアンを演じたのは、
第82回アカデミー賞外国語映画賞受賞の『瞳の奥の秘密』(09)や『人生スイッチ』(14)の
アルゼンチンを代表する俳優リカルド・ダリン。

フリアンに振り回されながらも見守り続ける友人トマスを、『トーク・トゥ・ハー』(02)、
『あなたになら言える秘密のこと』(05)、『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)などで多彩な役を演じ、
ペドロ・アルモドバル監督やイザベル・コイシェ監督に愛されてきた、スペイン映画界には欠かせないハビエル・カマラ。

監督・脚本のセスク・ゲイは、自身の母親の闘病体験を経て、
「この経験をユーモラスな形で表現したい」という思いから本作の製作に至った。

それが、世界各国の映画祭で「最もエモーショナルな美しい作品」と評され、
数々の受賞やノミネートにつながっていった。

【あらすじ】

人生の残りが急速にカウントダウンし始めたとき、しばらく会っていなかった友人が目の前に現れた ――
“しあわせ”を2人と1匹で探した特別な4日間。

スペインで俳優として活躍するフリアンは、愛犬トルーマンとアパートの1室に暮らしていた。
ある日突然、しばらく会っていなかったカナダに暮らす古い友人のトマスが目の前に現れる。
トマスは、フリアンのいとこパウラから、フリアンの具合が良くないと聞き、彼のもとを訪れたのだ。

フリアンはすでに治療をやめることを決断し、身辺整理を始めていた。
その決断に戸惑い、説得しようとするトマスだったが、フリアンは説教されることを嫌がり彼を追い返そうとする。
しかしトマスは、何を言われようが4日間滞在すると宣言し、2人で過ごす時間がはじまる。

限られた時間のなかで、愛犬トルーマンの里親探しや、
オランダ・アムステルダムの大学に留学している息子に会いに行くために費やす。
その時間は、フリアンとトマスの2人が一緒に過ごせる最後の日々でもあった ――。

はたして、余命僅かとなったフリアンにとって“しあわせな選択”とは……。

友人が訪ねてきた4日間だけ、
余命少ない男のリアルな日々を切りとった映画

劇中画像
© IMPOSIBLE FILMS, S.L. /TRUMANFILM A.I.E./BD CINE S.R.L. 2015

自分の余命が残りわずかだと知った時、
自分にとって大切な人の余命が残りわずかだと知った時、
あなたならどうしますか?

本作は、その2つの視点を主軸に描かれている映画です。

若かりし頃親友だった主人公のフリアンとトマスは、
トマスがカナダへ移住し、お互いが家族を持ったこともあり、しばらく疎遠になっていました。
ストーリーは、フリアンが住むスペインのアパートに、突然トマスが訪れるところから始まります。

しばらく会っていなかったこともあり、最初はとてもぎこちない2人。

トマスの立場を考えると、その理由は容易に想像できます。
会った瞬間、思いのままに泣いて強く抱きしめていいのか、
彼の心の内にあるものを優しく聞いてあげるべきなのか、
その話には触れず明るく楽しく過ごすべきなのか……

フリアンもまた、しばらく会っていなかった友人がなぜ突然訪ねてきたのか理由は明らかでも、
自分がどのように振る舞うべきなのか正解が分からず戸惑ってしまう。

最初は話もかみ合わず、フリアンは怒りトマスに帰るよう怒鳴るが、トマスは何が何でも4日間は滞在すると宣言する。
そしてフリアンはそれを受け入れるがこの4日間はワガママに過ごすと宣言し、2人のかみ合った歯車が動き出す。

時間を共にすることで昔の感覚を取り戻していく2人の関係はとてもリアルで、
たとえ長い年月会っていなかったとしても親友同士の関係は続いていることを証明してくれているような気がしました。

親友の死は、想像するだけでも胸が張り裂けそうになりますが、
それをかなしくも明るく、時にユーモアを交え、あたたかく伝えてくれる映画になっています。

“泣ける映画”で括ることなんて出来ない。
2人の中年男性が見せる、素敵な“最期の生き方”。

劇中画像
© IMPOSIBLE FILMS, S.L. /TRUMANFILM A.I.E./BD CINE S.R.L. 2015

病魔に侵され、自分の余命が残りわずかだと覚悟した本人、
その人を大切に想う周りの人々、どの人物の立場であっても
その感情を演技で表現するのはとても大変なことだと思います。

それを本作は、これが物語であるということを忘れてしまう程リアルに表現しています。

映画を観終わったとき、俳優陣それぞれがどれ程この映画を大切に想い
役作りに挑んでいたのかが、ひしひしと伝わってきます。

そして、主演の2人が時折見せる表情は、言葉では言い表すことのできない感情の動きを
あまりにも鮮明に映し出す
ので、“泣く”と自分で思う前に涙が流れてしまうような、
心に直接訴えかけてくるものがありました。

主演の2人

リカルド・ダリン

1957年1月16日生まれ、アルゼンチン・ブエノスアイレス出身。

アルゼンチンで最も有名な俳優の一人。
アルゼンチン映画批評家協会が選ぶ映画賞・銀のコンドル賞やアルゼンチン・アカデミー賞Premio Surには毎年のようにノミネートされ、受賞歴も多数。

リカルド・ダリンさんの写真
© Ricardo Darin Facebook
ハビエル・カマラさんの写真
© Javier Cámara

ハビエル・カマラ

1967年1月19日生まれ、スペイン・ログローニョ出身。

スペインを代表する実力派俳優。
ゴヤ賞の2014年作品賞受賞作『「僕の戦争」を探して〈未〉』(13)では、同賞で主演男優賞を受賞する。世界で活躍する監督の作品に次々出演し、ゴヤ賞ほか多数のノミネート、受賞歴がある。

この映画に出会えたことに
感謝したいと思える、特別な作品。

劇中画像
© IMPOSIBLE FILMS, S.L. /TRUMANFILM A.I.E./BD CINE S.R.L. 2015

本作は、いわゆる“余命もの”の映画特有のお決まりパターンには、一切はまらない映画です。
病名を告げられる衝撃のシーン、
余命わずかだと告げられる悲しいシーン、
だんだん弱っていく姿を見せられる苦しいシーン、一切なしです。

ただ、余生が長くないという運命を受け入れ、心残りがないように“しておきたいこと”を成し遂げようと日々を過ごすフリアンの姿と、彼の周りにいる人々を、親友のトマスが訪れた“4日間だけ”スクリーンに映し出しているのです。

この4日間では、等身大の人間のありのままの姿、感情が映し出されます。
映画に登場するすべての人物が、この世界に存在するそれぞれ固有の人間として描かれており、
ドキュメンタリーを見ているかのような気持ちにさえなります。

ここまで美しく、繊細に、切なく、そしてあたたかく人間の感情を見せてくれる映画があったでしょうか。
きっと世界中、すべての人の心に触れることのできる特別な作品だと思います。

日本での上映館が少ないのが悔やまれてなりません。
今を生きるすべての人に観てもらいたいと思える作品です。

映画館を出たあと、きっと大切な人と話したくなると思います。
この『しあわせな人生の選択』が、皆さんの心に届きますように。

© IMPOSIBLE FILMS, S.L. /TRUMANFILM A.I.E./BD CINE S.R.L. 2015
プロフィール画像

西田メルモ

知識量少なめ、熱量多めの映画大好き人間(女)。
映画館で観るのが好きで、毎週何を観に行くか考えている時が至福です。
ホラーとグロテスクな映画以外、何でも観ます。
将来、お気に入りの映画館まで自転車で通える距離に家を構え、
その家にシアタールームを作るという野望を抱き生きています。

(文/西田メルモ)

※記事内容はすべて公開日時点の情報となります。

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