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ただ、怖いだけでなくファンタジーに浸れるホラーが見たい。グリム童話のような美しい世界観を醸し出す『ウィッチ』はいかがでしょうか?

『ウィッチ』レビューのトップ画像

こんにちは! 夜道を帰らずに済むように、
怖そうな映画は日中に観るようにしています、西田メルモです。

今回は、7月22日公開の『ウィッチ』を観てきました!

魔女をテーマにして全米で大ヒットした話題作、
細部にわたる演出、画づくりが素晴らしい上質なホラー映画です。

『ウィッチ』

ポスター画像
© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.
原題
THE VVITCH
製作年
2015年
製作国
アメリカ
配給
インターフィルム
上映時間
93分
監督
ロバート・エガース
キャスト
アニヤ・テイラー=ジョイ
ラルフ・アイネソン
ケイト・ディッキー
ハービー・スクリムショウ
エリー・グレーンジャー
ルーカス・ドーソン他

【作品紹介】

愛する娘は魔女なのか ――

1630年米ニューイングランドを舞台に、当時の日記や裁判記録などの歴史的資料、
民話などから着想を得た、ダーク・ファンタジー・ホラー。
映画ファンから高い評価を得て、2015年のサンダンス映画祭で監督賞をはじめ、数々の映画祭で受賞を果たしている。

監督・脚本は高い演出力が注目されている新鋭、ロバート・エガース監督
映画史に残る傑作『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)のリメイク企画の監督にも抜擢された、いま世界が最も注目する監督である。

主人公トマシン役には、本作での演技がきっかけでM・ナイト・シャマラン監督最新作『スプリット』(17)のヒロインに抜擢されたアニヤ・テイラー=ジョイ

ハリウッドの新たな2つの才能が生んだ美しい闇、至上の魔女映画が遂に日本で解禁される。

監督画像
© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

【あらすじ】

敬虔なキリスト教徒の一家であるウィリアムと妻、そして5人の子供たち。
彼らは信仰のために村を離れ、森の近くの荒地で家族だけで暮らし始める。

助け合いながら暮らしていた一家だが、ある日赤子のサムが突然消え、行方不明になってしまう。

悪魔、そして悪魔と契約して人々を呪う”魔女”の存在に怯える敬虔な一家。
家族しかいない閉塞的な空間、彼らを取り囲むのは不気味な森。

やがて、美しく成長した長女トマシンこそが、
サムをさらった“魔女”ではないかという疑いが家族のなかで広まっていく……。

魔女狩りがあった時代にいると観客に錯覚させるほどのリアリティ

本作『ウィッチ』で舞台となるのはアメリカ、ニューイングランド。
これは、あの魔女裁判で有名なセイラム村がある地方です。

17世紀末、200名近い村人が魔女として告発され、
19名が凄惨に処刑されたアメリカ史上最悪の魔女裁判事件となったセイラム魔女裁判。
この事件は、集団ヒステリーを起こした一部の人々の、ただの暴走だったのでしょうか……。

「知識も分別もある現代の私たちがあの時代にいたら、魔女を恐れて暴走なんてしない!」

そう言い切ることが出来なくなるように、監督は観客をあの時代に連れ去ります。
私たち観客は、画を見せられているという次元ではなく、
空気感そのまま、本当にあの時代に連れ去られてしまいます……。

劇中画像
© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

昼間は太陽の光だけ。
夜はロウソクの炎と暖炉の火だけで構成された、揺らぎ、明滅する照明しかありません。
周囲を囲むのは、人間が制圧することのできない絶対的自然である森。そして、延々と続く重い雲。

本作『ウィッチ』で我々が目にできる世界こそ、当時の人々が見ていた世界そのものなのです。

人々が未知のもの、闇の感情をすべて“魔女”のせいとして恐れていた時代。
そして恐怖を、欲望を、不安を、未知の邪悪のせいにすることで救われた時代。
この映画を通して、当時の人々が感じていた恐怖の根源を体感することができます。

実際にあった恐ろしいグリム童話

不気味な森、魔女、呪い、消える子供、動物たち……
この映画のキーワードを並べると、少し怖いおとぎ話のような印象を受けます。

怖いおとぎ話といえば、「本当は恐ろしいグリム童話」という本。
私たちが慣れ親しんだグリム童話は、性や暴力の描写を取り除いたものであるため、
初期の残酷性が際立った物語を紹介するという本です。
一時期日本で流行っていたので、お持ちの方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

この初期のグリム童話、注目すべきなのが、
多く物語に登場するいじわるな継母が、元々の物語では実母であるという点です。
例えば、白雪姫を殺そうとする魔女は、白雪姫の本当の母親。
ヘンゼルとグレーテルを森に捨てようとする継母も、元々の物語では本当の母親です。

子供達を虐げていたのは、後から家族に入ってきた継母という他人ではなく血のつながった実母。
本当のグリム童話は、家族内での愛憎の物語なのです。

劇中画像
© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.
劇中画像
© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

本作『ウィッチ』も同様、父と母、そして5人の子供たちの家族の物語です。

一家は赤子のサムが姿を消してから、“魔女”という邪悪が家族内にいるのではないかと、疑心暗鬼になります。
その事件から一変する家族の世界。
しかし、それは赤子のサムが消えなければ、変わらなかったことなのでしょうか……。

16世紀後半から17世紀にかけて白熱した魔女狩り。
魔女と称され、処刑された人々が決定的に魔女になったのはいつなのか……
それは、民衆がその人を“魔女”と呼んだその瞬間です。

“魔女”を“魔女”にするのは誰なのか ――

赤子のサムが消える事件が起こる前から、登場人物が心の底に抱いていた感情に気づいたとき、
この映画が提示する本当の恐怖が感じられると思います。

劇中画像
© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

当時を再現するため細部まで気を使った絶対的な環境と細やかな恐怖演出。
監督がこだわり抜いて調整した光と闇の描写は、1シーン1シーンがまるで荘厳な絵画のように感じさせます。
世界観の丁寧な構築や画づくりなど、まさに最高・最上のホラー映画といえる作品です。

また、自然の音を組み合わせた濃密な環境音、17世紀の賛美歌を不協和音へと変貌させた音楽などすべての音響が、
畏怖を呼び起こし、超越的でありながら邪悪な要素が込められた心を引っ掻かれるような、素晴らしいサウンドです。

是非大音量、大画面で、実際にあった恐ろしいグリム童話のような世界にどっぷり浸かってください!

© 2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.

『ウィッチ』

7月22日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
映画HP : http://www.interfilm.co.jp/thewitch

プロフィール画像

西田メルモ

知識量少なめ、熱量多めの映画大好き人間(女)。
映画館で観るのが好きで、毎週何を観に行くか考えている時が至福です。
ホラーとグロテスクな映画以外、何でも観ます。
将来、お気に入りの映画館まで自転車で通える距離に家を構え、
その家にシアタールームを作るという野望を抱き生きています。

(文/西田メルモ)

※記事内容はすべて公開日時点の情報となります。

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