GLUE

暮らしと仕事にちょっと役立つかも知れないエンタメ系情報サイト

  • 株式会社アジャスト
Movie

『殺人者の記憶法』
アルツハイマーの連続殺人鬼 VS 新たな殺人鬼! 殺人鬼の記憶の迷宮に迷い込んだような感覚に陥る、傑作クライムスリラー映画です

『殺人者の記憶法』レビューのトップ画像

こんにちは! 最後まで翻弄されるような、どんでん返しのある物語が好きな西田メルモです。

今回は、1月27日公開の『殺人者の記憶法』を観てきました!

アルツハイマーの元連続殺人鬼という衝撃的なキャラクターの視点で描かれる本作。
次々とめまぐるしく覆されていく“真相”、そして主人公の最大の敵が“自分の記憶”という異色の設定。

すべての要素がノンストップで面白さを持続させる、傑作クライムスリラーです!

『殺人者の記憶法』

ポスター画像
© 2017 SHOWBOX AND W-PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
原題
Memoir of a Murderer
製作年
2017年
製作国
韓国
配給
ファインフィルムズ
上映時間
118分
監督
ウォン・シニョン
キャスト
ソル・ギョング
キム・ナムギル
キム・ソリョン
オ・ダルス他

【作品紹介】

記憶しろ! ヤツから娘を守れ。
ベストセラー小説、待望の映画化!

アルツハイマーを患う元連続殺人鬼の男の前に現れた、新たな殺人鬼。
混濁していく記憶の中で、娘を守ろうと奔走する男の視点で描かれる、異色のサスペンス。

原作小説『殺人者の記憶法』(13)は、予約だけで
韓国でベストセラーとなる数字を叩き出し、発売すると同時に1位を記録。

文学界にセンセーションを巻き起こした。

原作者は『鏡についての瞑想』(95)で作家デビューして以来、精力的に作品を発表し、
韓国の主要な文学賞をすべて受賞している人気作家のキム・ヨンハ。

そんなベストセラー小説が原作である本作は、韓国で公開時に初登場1位を記録。
2017年公開のサスペンス映画では最速で動員100万人を突破し、世界的に大ヒットした『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(17)や『ベイビー・ドライバー』(17)を押さえ、連続1位を達成した。

主演はソル・ギョング
イ・チャンドン監督の『ペパーミント・キャンディー』(00)にて、
韓国のアカデミー賞といわれる第37回大鐘賞で主要5部門受賞。

同監督とタッグを組んだ『オアシス』(02)では、脳性麻痺で体の不自由な女性と恋に落ちる前科のある青年を熱演。
1千万人近い観客を動員した話題作『シルミド』(03)では北朝鮮の金日成首相暗殺計画を実行する部隊のリーダーを演じるなど、常に個性あるキャラクターで幅広い演技を見せる、韓国を代表する俳優である。

共演はキム・ナムギル
日韓合作ドラマ『赤と黒』(10)で日本でもブレイクし、韓国で圧倒的な興行成績を打ち立てた大型災害ブロックバスター映画『パンドラ』(16)では主演を務めた、韓国のみならず日本でも人気の俳優。

彼が演技の幅を広げたいと出演を決めた本作では、主人公ビョンスの殺人習慣を呼び起こす疑惑の男を熱演。
底知れぬ怖さを感じさせる演技を追求し、異質な存在感を放っている。

監督はスタイリッシュな映像に定評のあるウォン・シニョン
代表作である『サスペクト 哀しき容疑者』(14)は北朝鮮の元エリート工作員の命がけの戦いを描き、
「韓国版ボーン・アイデンティティー」と高く評価された。
次回作を期待され続ける実力派映画監督である。

【あらすじ】

獣医のビョンスはアルツハイマーで元連続殺人鬼という顔を持ち、
日々の出来事を“録音”することを習慣に過ごしていた。

ある日、接触事故を起こし謎の男テジュに出会う。その目つきに彼もまた殺人犯だと確信し、
警察に通報するがまともに取りあってもらえない。

やがてテジュはビョンスの愛娘ウンヒの彼として目の前に現れる。
ビョンスは1人でテジュを捕らえようとするが、アルツハイマーにより記憶は途切れ混乱していく。

そうしてまた始まった連続殺人事件……。
これはヤツの仕業なのか?

『殺人者の記憶法』公式サイトより)

蘇る殺人という習慣! 元連続殺人鬼という過去を持つ父親、ビョンスの戦い

劇中画像
© 2017 SHOWBOX AND W-PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

アルツハイマーを患う元連続殺人鬼、主人公キム・ビョンスの視点で描かれている本作は、
混沌とした彼の思考、視界を通して物語を見せます。

幾重にも重なる謎、自分の記憶と周囲の発言との食い違い……。
常に主人公ビョンスの視点から物語を見る観客は、ビョンスと共に記憶の迷宮の中に入り込み、
“真相”を求めて奔走していくことになります。

観客が入り込み、共有することになるビョンスの記憶……。
それは、殺人を犯すことが習慣になってしまうほど、多くの人を殺してきた人間の記憶です。

人は、無意識でも靴紐が結べるように、記憶がなくても習慣になったことは忘れません。
たとえ何年もそれに触れない時間があったとしても、自転車に乗れたり、ブラインドタッチができたり、
日本人であれば家に入る時には靴を脱いだり……身体が自然と動いてしまうものです。
それと同じ原理で、主人公ビョンスの手は、アルツハイマーになり覚えていなかったとしても人を殺せてしまうのです。

偶然出会った男テジュを自分と同じ殺人鬼であると確信するビョンス。
ビョンスは愛娘ウンヒに近づいてくるテジュを捕らえようと奮闘するのですが、
彼と出会ったことで自らの殺人の習慣が蘇っていきます。

劇中画像
© 2017 SHOWBOX AND W-PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

父親である自分と、かつて殺人鬼であった自分。
その狭間で記憶に翻弄されながら、大切な娘を守ろうとするビョンス。
信じられるのは自分しかいないという孤立無援の戦いの中で、自分さえ信じられなくなったとしたら……?

本作は、ミステリーであり、クライムアクションでもあり、本格サスペンスとして傑作映画に仕上がっています。

徹底した役作り! 限界を超えた俳優陣の演技

劇中画像
© 2017 SHOWBOX AND W-PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

謎と狂気に満ちたこの作品の大きな魅力のひとつが、キャスト陣の熱演です!

カメレオン俳優と呼ばれる主演ソル・ギョングは、
特殊メイクやCGに頼らずに自身の顔にしわを作るなど、徹底的な役作りに取り組んでいます。
撮影の前日まで毎日早朝2時間の縄飛びと、炭水化物を絶ち水分摂取さえも限界まで控えた食事療法で、
容姿を作り込んでいったそうです。

共演しているキム・ナムギルが「ソル・ギョング先輩は手が厚いことで有名だが、
その手までげっそりと痩せて本当に驚きました」とコメントしているように、
簡単には痩せない掌まで痩せこけさせ、老人の手に見えるよう作り上げました。

ソル・ギョングの実年齢がまだ40代だというのが信じられないくらい、
その徹底した容姿の作り込みと悲哀に満ちた表情から、彼が高齢者にしか見えないのです。

そして、静かに暮らしている1人の父親が秘めている狂気
ふとした瞬間に見せる、常人とは思えぬ目つき。
人生を捧げた熱演と言っても過言ではないような、凄まじい演技を見せてくれています。

共演のキム・ナムギルは、そのソル・ギョングから「太ったほうがもっと怖く見える、ぞっとした雰囲気が生まれる」というアドバイスを受け、体重を14kg増量

その体重調整が効果的に働き、謎の男テジュの不気味さに拍車がかかっています。
爬虫類のような、底の見えない冷たい目。
背筋を凍らせるような不気味な表情を見せながら、同時にイマドキの淡白な若者にも見える……。
どちらにも見えるような紙一重の絶妙な演技で、主人公ビョンスと、私たち観客を翻弄します。

元連続殺人鬼という闇を抱えた主人公ビョンスにとって唯一の光である、娘ウンヒ。
彼女を演じるのは、日本でも大人気の女性アイドルグループ「AOA」のメンバー、キム・ソリョン!
ナチュラルな演技と、はにかむような可愛い笑顔を見せる彼女は、
ビョンスにとっての“守りたい大切な存在”として強い存在感を放っています。

劇中画像
© 2017 SHOWBOX AND W-PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

そのほか注目すべきなのは、原作にはないキャラクター、アン署長を演じるオ・ダルス
この緊迫した映画を観ながら、劇場にいる皆で笑える瞬間を生み出しているのです!
緊迫したなかで笑いを起こしてくれるオ・ダルスの癒しの演技……すごいです。

彼の登場シーンはコミカルなものが多くありながら、作品の世界観を壊すことなく、
手に汗握り続ける本作のちょうどいい癒しのスパイスとして効いています。

アン署長が登場するシーンをはじめ、ハラハラするだけでなく笑えるシーンも盛り込んだ映画となっているのですが、
とにかく展開が早く、そのスピードが緩むことはありません!
どんでん返しに次ぐどんでん返し。ノンストップで走り続ける118分です。

次々と変わる展開、主人公ビョンスの記憶、思考に、混乱させられ続けます。
この映画を観ている自分は、誰の意見を信じるべきなのか……観ながら、何度も自問自答してしまいます。
そして鑑賞後は、心地よい目眩がするような、不思議な感覚に包まれました。

人間の記憶の危うさを活かした傑作クライムスリラー、『殺人者の記憶法』。
何度も観たくなる、観た者同士で語り合いたくなるような、巧妙な物語です!
映画館で、皆様もぜひ記憶の迷宮に迷い込んでください!

© 2017 SHOWBOX AND W-PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

『殺人者の記憶法』

1月27日(土)よりシネマート新宿ほか全国公開
映画HP : http://www.http://www.finefilms.co.jp/kiokuho

プロフィール画像

西田メルモ

知識量少なめ、熱量多めの映画大好き人間(女)。
映画館で観るのが好きで、毎週何を観に行くか考えている時が至福です。
ホラーとグロテスクな映画以外、何でも観ます。
将来、お気に入りの映画館まで自転車で通える距離に家を構え、
その家にシアタールームを作るという野望を抱き生きています。

(文/西田メルモ)

※記事内容はすべて公開日時点の情報となります。

記事をシェアする!