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エンタメ

いつもの韓流メロドラマ? いえいえ、これは感動のヒューマンドラマ。大切な人がいる人すべてが、必ず観るべき映画です。

『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』レビューのトップ画像

こんにちは! 心に沁みる映画を鑑賞した後は、
劇場が明るくなってもなかなか立ち上がれません、西田メルモです。

今回は、7月29日公開の『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』を観てきました!

ファンタジーな導入からは想像もつかないほど重要な問いを提示してくる、
素晴らしいヒューマンドラマです。
大切な人がいるすべての人に、観てもらいたい作品です。

『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』

ポスター画像
© 2017 INVENT STONE ALL RIGHTS RESERVED
原題
One Day
製作年
2017年
製作国
韓国
配給
ファインフィルムズ
上映時間
113分
監督
イ・ユンギ
キャスト
キム・ナムギル
チョン・ウヒ
イム・ファヨン
パク・ヒボン
ユン・ジェムン他

【作品紹介】

心に傷を負った主人公と、彼にしか見えない存在となってしまった女性との
ファンタジックなヒューマンドラマ。

昏睡状態の女性の姿が自分にだけ見えてしまう主人公ガンスを演じるのは、
日韓合作ドラマ『赤と黒』(10)で日本でもブレイクしたキム・ナムギル。
『無頼漢 渇いた罪』(15)でカンヌ国際映画祭に初参加し、
大型災害ブロックバスター映画『パンドラ』(16)で圧倒的な興行記録を韓国で打ち立てた人気俳優。

『サニー 永遠の仲間たち』(11)の強烈な演技で注目を浴び、
主人公を演じた『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』(15)では第35回青龍映画賞 主演女優賞を獲得したチョン・ウヒが共演。

監督・脚本は、日本の小説原作を数々映画化してきたイ・ユンギ監督。
日本でも人気のヒョンビン主演の『愛してる、愛してない』(13)、
チョン・ドヨン、コン・ユという2大スター共演の『男と女』(17)など、
さまざまな男女の愛を描いている。

監督と脚本を兼ねるスタイルを得意とするイ・ユンギ監督は、
本作で韓国映画界で今最も勢いのある2人の共演により、
ファンタジー要素を取り入れた新しい人間ドラマを生み出した。

【あらすじ】

予期せぬ形で妻を失い、無気力に日々を過ごす保険調査員のガンス。
ある日彼は調査のために、交通事故の被害者となった女性ミソの病室を訪れる。

彼女の病室で、ガンスはある女性から声をかけられる。
その女性はなんと、2カ月近くも昏睡状態のはずのミソだった。
ミソは自分が見えていることに驚き、ガンスにお願いがあると言って付きまとう。

最初はその状況をまともに受け取らないガンスだったが、
ふと目に入った病院の鏡に彼女の姿が映っていないことに気づく。

明るく振る舞っていたミソだったが、
ガンスが調査していた彼女の事故の裏には、悲しい出来事が秘められていた ――。

メロドラマではなくヒューマンドラマ。
登場人物たちが隠し持つ、悲しい秘密が明かされていく。

劇中画像
© 2017 INVENT STONE ALL RIGHTS RESERVED

最愛の妻を失い、魂が抜けてしまったように気力を失い、妻の葬儀にも出席しなかった主人公ガンス。
彼を蔽い込んでいるのは、妻が亡くなった時の悲しい記憶。

妻の母が持ってきてくれたキムチを見て、楽しかった日々を思い出す瞬間もあります。
しかし、すぐに彼女が亡くなる直前のつらい記憶が彼を悲しみへと引き戻します……。

そんな無気力と苦痛の中で生きているガンスの前に現れたのが、
彼にしか見えない、幽霊のような存在となったミソ。

自分が昏睡状態のままで回復できるという確証もないなかで、
ガンスとはまるで正反対に、ミソはいつも明るく朗らかに振る舞っています。

何にでも興味津々、いたずら好きでお茶目、そして、いつもほかの人の幸せを願う心優しいミソ。
「微笑(ミソ)」という名前の通り、桜が咲くかのような可愛い笑顔でガンスに付きまといます。

劇中画像
© 2017 INVENT STONE ALL RIGHTS RESERVED

ガンスはいやいやながらも、自分にしか見えないミソのお願いに付き合うことになり、
ともに過ごすうちにだんだんと彼女に惹かれていきます。
そして、その様子を見ている私たち観客も、いつの間にかすっかりミソの魅力に引き込まれていきます。

「もっと彼女に笑顔でいてもらいたい」

そう思うようになったガンスがとった行動が、
奇しくもミソが被害者となった事故当日の謎を解き明かしていくのです。

彼女が住んでいるソウルから遠く離れた場所で事故にあい、
その日“持っている筈のもの”を持っていなかったことで、
事故ではなく自殺だという疑いをかけられることになるミソ。

彼女はなぜ、あの日あの場所にいたのか。
なぜ、”持っている筈のもの”を持たずに歩いていたのか。

本作は、主人公にしか見えない魂のような女性が登場するファンタジーテイストでありながら、
さまざまな悲しい秘密を隠し持つミステリー
でもあります。

そして、それと同時に、重要な問いを含んだ「愛するということ」についての物語でもあるのです。

誰もが持つ痛みを描く、愛に満ちた物語

本作、『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』は、
目に見える世界、そして触れることで分かる世界というのが重要な要素となっています。

ガンスにしか見えず、触れられなくなってしまったミソ。

彼女は、ほかの誰の目にも映ることがなく、何にも触れることができません。
人はもちろん、水滴も、花びらさえも彼女をすり抜けていきます。
その描写は切なくも美しく、スクリーンに映し出されます。

彼女は、ガンスを通してでしか世界と触れ合うことができないのです。
そしてガンズは、彼女の“手足”となり、行動を共にしていきます。

劇中画像
© 2017 INVENT STONE ALL RIGHTS RESERVED

ガンスに連れていってもらう外の世界に、目を輝かせながらも、
触れられないことを悲しむミソ。

その様子は、当たり前に思って見過ごしている目に見える世界の美しさ、
そして、触れることでわかる世界の素晴らしさを教えてくれます。

愛する人との日々を、この世界を、きちんと目に焼き付けているでしょうか。
大事な人と触れ合えるチャンスを、触れ合った時間を、大切にできているでしょうか。


鑑賞後に、思わず自問せずにはいられませんでした……。

映画のなかで、ミソはガンスの手に触れ、
「目を閉じて手に触ると、その人が歩んで来た人生がわかる」と言います。
そしてガンスもまた、ミソの手に触れます。

2人の手が重ねられるように、
ガンスが囚われている記憶とミソの思いが重なっていくこの物語。
誰もが共感し胸打たれる、愛に満ちた物語だと思います。

“人と触れ合うこと”
それは、その人と人生の時間を過ごすということ。
思い出が満ちていくということです。

何があろうとも、つらい記憶、逃げたい記憶に負けて、
大切な人と触れ合った時間が失われることは悲しいことです。

主人公ガンス役を演じるキム・ナムギルはこう語っています。

“ガンスは誰もが持つ痛みを抱えている男です。
観客のみなさんが「自分と同じだ」と共感されると同時に、
温かさを感じ癒されたりしながら、
勇気を得られるような作品になるといいと思います。
―――――キム・ナムギル”

誰もが持つ痛みを描きつつ、誰かの救いになるよう願いが込められた本作は、
家族・友人・恋人……大切な人がいるすべての人に観てもらいたい、
大切な重みのあるテーマを、明るいトーンで描き切った素晴らしい作品
です。

鑑賞時は映画の軽快なタッチから完全に油断していると、
後半、泣けてしまうシーンが怒涛のように続きます……。
観に行く際には、目を押さえても痛くならない、やわらかハンカチを持参されることをお勧めします!

© 2017 INVENT STONE ALL RIGHTS RESERVED

『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』

7月29日(土)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
映画HP : http://www.finefilms.co.jp/oneday

プロフィール画像

西田メルモ

知識量少なめ、熱量多めの映画大好き人間(女)。
映画館で観るのが好きで、毎週何を観に行くか考えている時が至福です。
ホラーとグロテスクな映画以外、何でも観ます。
将来、お気に入りの映画館まで自転車で通える距離に家を構え、
その家にシアタールームを作るという野望を抱き生きています。

(文/西田メルモ)

※記事内容はすべて公開日時点の情報となります。

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